HERO INTERVIEW

商店会 会長 梅橋 嘉博

「絵を描くのが得意で、美術の道を志したこともあった。」そう語るのは、ここ医大通り商店会の会長を務める梅橋義博さん。「歓[fun]」という店名で14年間、中華料理店を営んでいる。美術少年だった梅橋さんが料理を始めたのは20歳のとき、父親からの助言で中華を選び、単身、新宿の中華料理店で住み込みの修行を始めた。「当時は中卒からやっているような人も多くて、自分より年下の人が野菜を切っているのを見て悔しくて仕方なかった。夜中にこっそり起きてきて、一斗缶のタケノコをひたすら千切りにして翌朝怒られたり・・・でも、それしかできなかったから。」そんな梅橋さんが過去最も長く17年間勤めた店が、新宿三丁目にあった。「もとは調理場にいたが、その時の上司が抜擢してくださり、ホールに出て支配人をするようになった。そしたらお客さんと話すことが、もう楽しくて。」そう嬉しそうに話す梅橋さんにはあっという間にファンがついた。恩師や弁護士など、立地が立地だけにそうそうたる面々だ。ほどなくして経営者の切り替わりのタイミングで独立を決めたが、3人の子どもたちの教育費などお金がかかる時期と重なった。その窮地を救ったのが、梅橋さんを慕うファンたちだ。「全部で10名の方が、それぞれお金を出し合ってくださり、750万円集まって、それを元手に店をつくろうと動き出し、出会ったのがこの物件だった。」ファンのみなさんからの「美味しくて楽しいお店をつくってくれて」という大きな期待を感じた梅橋さんは、全員が男性(GUY)の彼らに敬意を評して社名を「ガイ(guy)dining」とした。「店を開いてからも、簡単なことばかじゃないよ。苦しいときのほうが多いくらい。でもその度に周りの人が助けてくれて、いまがある。だからこの医大通り商店会で店を経営する仲間たちや勇気を持って出店してくれた人たち、みんなのことを俺は応援したいんだ。」そう語る梅橋さんがからは、この地域を、店を、仲間を盛り上げるんだという確かな覚悟を感じた。「5月には周辺の町内会でお神輿をかつぐ。ハッピを着れば誰でもかつげるから、来たいなら教えてね、ハッピ多めに注文してくから。」そう言って梅橋さんは笑った。